AutoCAD互換検証(QCAD編):水平直線コマンドと3つの基準点(開始・中央・終端)による爆速作図作法
QCADはAutoCADとの高い互換性を持ち、作図コマンドの基礎設計も共通しています。今回は、2D製図における全ての基礎であり、最も多用する「正確な水平直線」を狙った通りの寸法で一撃配置する、QCAD独自の強力な基準点駆動システムを解説します。
QCAD(無料制限版)の主要描画コマンド一覧
QCADもAutoCAD互換を謳うだけあり、主要な描写コマンドの構造は共通しています。無料制限版であっても、実務に必要十分な以下の作図アイコン群が最初から配備されています。

「フリー描画」と「寸法指定駆動」の違い
CADで1本の直線を引くアプローチには、大きく分けて以下の2つの思想が存在します。
- フリー(自由に描く)タイプ: 画面上の任意の2点をマウスでクリックして感覚的に結ぶ。
- 幾何学拘束(水平・垂直・角度固定)タイプ: 線の方向性を拘束した上で、基準点からの正確な距離を指定してロジカルに描く。
設計室における実務製図では、前者のフリー描画はいったん無視します。ミリ単位の狂いも許されない兵器考証や構造設計においては、常に水平・垂直・角度・距離を完全指定して描くコマンドが主砲となります。
水平直線(linehorizontal)コマンドの実装挙動
今回は、最も使用頻度の高い「水平直線」を一本引く作図をマスターしましょう。まず、ラインメニューから専用アイコンを選択します。
ラインメニュー:「linehorizontal」アイコン
コマンドライン直入力の場合: ラインメニューを展開後、この水平専用アイコンを選択することで、上部オプションバーが専用の入力パラメータモードへと切り替わります。
このアイコンを選択すると、QCADのウィンドウ上部のコントロールバーの表示が以下のように劇的に変化します。

このモードに入ると、即座に画面上で直線のパラメータである L(長さ) と R(基準点) を指定する状態へと移行します。ここがQCADの最も優れているポイントの一つです。
作図効率を3倍化する3つの基準点(R)運用理論
水平直線コマンドの真価は、オプションバーの R で指定する**「開始」「中央」「終端」**という3つの基準点選択にあります。CADは常に「基準からどのような線を引くか」という設計思考で動かすため、この挙動を完璧に掴む必要があります。
〇 R 基準点「開始」の場合
クリックしたポイントが直線の「左端(スタート地点)」となり、指定した長さ分の線が右側へ向かって一撃で伸長します。
〇 R 基準点「中央」の場合
クリックしたポイントが直線の「中心(センター)」になります。通り芯の中心線から左右均等に部材を配置したい時など、計算の手間を完全にゼロにできます。
〇 R 基準点「終端」の場合
クリックしたポイントが直線の「右端(ゴール地点)」となります。右側の壁面や基準線から、左側に向けて正確に戻るような作図を行う際に威力を発揮します。
この3つの基準点を使い分けることで、ユーザーは「現在のカーソル位置から、指定した長さの線をどう配置するか」という**配置の決定だけに100%集中**できます。AutoCADのように毎回オフセットや相対座標計算を挟む必要がないため、2Dの単純配置速度は圧倒的に跳ね上がります。
100mm直線の描画と寸法線初期設定の成果
実際に、上部バーの「L」に 100 を入力し、100mmの長さの水平直線を配置して寸法線を引いた検証画面がこちらです。

前回の記事(連載第001回)でご紹介した**「寸法線の初期設定」**があらかじめ適用されているため、無駄な小数点や巨大な矢印に邪魔されることなく、非常にソリッドで視認性の高い「すっきりした寸法数字」で図面が出力されていることが確認できます。
今後の検証ロードマップ(垂直・平行・RootCAD)
QCADは、AutoCADが持つ「数値による圧倒的な正確さ」と、国内で根強い人気を誇るJW-CADの「サクサク引ける軽快な書きやすさ」をハイブリッドに融合させたような独特の戦闘能力を持っています。何より、世界標準のDXFファイルがネイティブで作成・編集できる点が最大のメリットです。
今回は基本編として「水平線」を徹底解剖しましたが、QCADの直線メニューには日常戦闘をカバーする強力なバリエーションがまだまだ控えています。
・水平線(当ページで完了)
・垂直線
・角度指定で描く線
・平行線
・通過点指定平行線
・相対角度線
・直交線
・円接線
・フリーハンド線
プロ仕様の有料版(Pro)にアップグレードすることで、これらの機能はさらに強大になります。当設計室では今後、これらの残る直線コマンドの検証を進めるとともに、もう一つの国産AutoCAD互換の本命である「RootCAD」の検証・比較も順次前線へ投入していく予定です。続報を待て。